40年以上前からプラスチックの存在に疑問を持たれていた、鎌倉で洋服の仕立て直しをしている女性にお話を伺いました。
プラスチックを子どもに使うことに疑問をもっていました
――プラスチック問題を意識しだしたのはいつごろからですか?
きっかけは、やはり子どもが生まれたときですね。
昭和45年ごろ、日本の経済成長とともに、生活の中にはプラスチックをはじめ多くの工業製品があふれてきていました。
私は大工の娘で、子どものときから木に囲まれて育ったものですから、これらのプラスチックを子どもに使うことに疑問をもっていました。大人より、小さな子供はより影響を受けます。子どもを守るためになにをしたら良いのか、と考え始めたのです。
そして、その頃PCB問題が出てきました。カネミ油症事件が発生して、その毒性ダイオキシンが社会問題化したのです。プラスチックは石油からできており、PCBはそこから発生しているということだったのです。
私は家中のプラスチックを捨てました。といっても、完全に捨てきれるものではありませんが、とにかく子どもへの影響がこわかったのです。
その頃、近所にプラスチック廃絶を訴えている婦人会もあり、その影響も受けました。とにかく、家(キッチン)は木とステンレスだけにしようと考えました。
と同時に、私は洋服の仕立てをしていたので、生地屋さんからいろいろな情報をもらったのです。布地の観点から環境破壊を知ることとなりました。
生地屋さん曰く、「環境が悪くなってきたら天然製品の質が落ちてきたね…」と。
綿は、羊から
麻は、アサ科の繊維から
絹は、蚕から
環境汚染により、羊の食べる草が生えている土壌が侵されてくる
環境汚染により、麻科の植物が生えている土壌が侵されてくる
環境汚染により、蚕の食べる桑の葉がなる土壌が侵されてくる
要するに、石油により土が汚染されると餌も汚染され、そこからとれる繊維が影響を受けるのです。口から入る食べ物だけでなく、肌に直接ふれる生地にも石油が関係してくるのか…と思いました。
捨てたものは土にはかえらないもの。永久に残るのです。
今は、ナイロン、テトロンなど化学繊維があふれており、安価で丈夫で軽いときていますね。綿100%の靴下なんかも見なくなりました。でも、やっぱり肌に直接つけるものは天然のものがいいです。
特に、お年寄りなんかもキッチンでナイロンのものを着ていると非常に危険です。火が飛んだら、あっという間に溶けて肌についてしまいます。
私は、石油が諸悪の根源だと思っています。とはいっても、こんなに石油製品があふれている現在、それをやめることは不可能。
であれば、せめて使い捨て製品だけは作ってほしくない。捨てたものは土にはかえらないもの。永久に残るのです。捨てたら誰かが被害にあいます。それは、罪のない子どもや動物です。
私は、野菜、肉、魚はスーパーでなく、小売店でものを買うようにしています。食品トレイなどなるべく出さないように日々気を付けています。
プラスチックがなくなる世の中になればいいけど、なかなか難しい。
でも、一人ひとりの意識を高くもって、よくないものはダメ!と声に出していくことは大事だと思う。
それをやめてはいけないと思うのです。
プロフィール
目黒のリフォームショップ「アプリーナヨシコ」の姉妹店として2005年より鎌倉に「ラブ、キュウピット」をオープン。
2016/11/15
聞き手:PFJスタッフ